アマゾン・ドットコムにおける事業ライン拡大への取り組みを見てみましょう。アマゾンは、書籍と音楽CDのオンライン販売という分野で「アマゾン・ドットコム」のブランドを確立しています。そして、最近はナンバーワンーブランドを目指し、買収や提携を通じて積極的に事業ラインを拡張し、エレクトロニクス製品、おもちや、ギフトからオークションにまで広げています。ナンバーワンーブランドという視点から見ると、一見この拡大戦略こそ勝ちパターンのように思えますが、並行してブランドの希薄化という視点を勘案することがブランドの強化にあたっては不可欠です。すなわち、事業ラインを拡大するうえで「アマゾン固有の思想」が存在することが極めて重要だということです。このような思想の存在がアマゾンーブランドのアイデンティティの稜線を維持し、アマゾンらしさの訴求を可能にするのです。リアルワールドにおける店舗在庫品をオンラインで販売するというやり方はそういった意味では極めて慎重に行うべきでしょう。安易なオンライン上での事業展開によりブランドのこれまでのポジショニング自体をリセットしてしまいかねないからです。eブランドが企業にどのくらいの超過収益をもたらしているかは継続的にモニタリングし、きちっと把握していくことが重要です。サイバー世界におけるさまざまな情報流通チャネルを通じて交換される情報による、ブランド価値へのダメージに対してはしっかりした保全体制を持つことが不可欠となります。放送と通信の融合が進み、ますます顧客と企業をつなぐパイプラインが多様化する状況下で強いeブランドを構築・維持するには、自社のブランドが顧客に対して何を約束するかという、ブランドの基本思想を明確にし、その思想を着実に事業活動のなかで具現化する「こだわり」の姿勢が求められると考えられます。