トヨタ・GM、代理戦争

2011.08.29

1998年10月1日。静岡県湖西市にあるスズキの湖西工場で新規格軽乗用車のラインオフが始まった。「ダイハツは新規格車をどれくらい生産準備しているか」。社長は、GMの南1工場などを訪問して帰国したばかりだが、すぐに工場現場を回ってハッパをかけた。ライバルのダイハツの動きが気がかりだったのである。そのダイハツは、いち早く8月から全国各地の販売店で新規格軽乗用車の披露内示会を行なっていた。10月の発売直前の発表会を予定していたメーカーがほとんどで、ダイハツの対応の早さが話題になっていた。ダイハツには事情があった。「シェア40%を目指すトヨタの子会社になった以上、ダイハツの軽自動車のシェアが25%程度では許されない」。社長の発言も攻撃的になっていた。トヨタの子会社化によってダイハツは軽自動車に経営資源を集中させる。ライバルの動きにスズキは敏感になった。そのスズキは、GMとの提携関係を強めた。GMがスズキの出資比率を10%に引き上げ、スズキもGM株を持つという資本持ち合いでGMグループを明確にした。GMのグローバル戦略のなかでスズキはスモールカー分野を受け持つ役割がはっきりしたのである。そこで新規格車の登場は、トヨタとGMの代理戦争だと言われた。

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