ブローベルが明らかにした位置シグナルについての事実は、非常に有益な発見です。しかしそれを遺伝子操作で応用していくことには不安を感じます。21世紀は、遺伝子の時代ともいわれます。このまま行けば、ますます遺伝子操作が日常的なものになっていくでしょう。クスリに限らず、植物や動物や人間までもが遺伝子操作を受けるのが当たり前になってしまう恐れがあります。人間には、分かつたものをとことん進めてしまう傾向があります。それがどんなに危険なものかは、もっとずっと後にならなければ分からないことが多いのです。化学合成品に発がん作用があったり、環境ホルモンとしての作用があったりということが分かるずっと以前から、化学製品は摂取されたり身近に使われたりしていたのです。発明されたものの及ぼす影響が分かるのは、発明されてから何十年もたってからなのです。人間は試行錯誤を繰り返して、いろいろな知識や技術を積み重ねてきたのですが、取り返しのつかない失敗もあるのです。取り返しのつかない失敗の機会が現代にはたくさんあるのだということを決して忘れてはなりません。その取り返しのつかない失敗の恐れが十分ある技術が遺伝子操作なのです。